株式会社 一柳アソシエイツ

構想エネルギー21研究会

2016.01.29 更新

一柳が代表幹事を務める構想エネルギー21研究会の第98回勉強会を開催しました

2016年1月21日 当社社長一柳が代表幹事を務める構想エネルギー21研究会の第98回勉強会の講師に、経済産業省 大臣官房審議官(環境問題担当)三又裕生様をお招きし、『COP21と我が国の政策及び産業界の対応について』とのテーマでお話しを頂きました。

三又 裕生 氏

三又 裕生 氏

三又様は、COP21に日本代表の一員として参画されました。
はじめに、今回のCOP21で纏まった「パリ協定」について説明されました。
今回は、従来から日本が主張していた「全ての主要排出国が参加する公平かつ実効的なものであることが必要」という趣旨が実現しています。新しい枠組みづくりの一環として、現在排出量の99%をカバーする国・地域が約束草案を提出しております。
「パリ協定」のポイントは以下の6点です。
① すべての国が削減目標を5年ごとに提出・更新、その実施状況
 を報告しレビューを受ける
② 我が国が提案する二国間クレジット(JCM)も含めた市場メカニ
 ズムの活用を位置づけ
③ 先進国が資金の提供を継続するだけでなく、途上国も自主的に資金を提供
④ 5年ごとに世界全体の進捗状況を把握する仕組み(グローバル・ストックテイク)の導入
⑤ 世界共通の長期目標として2℃目標のみならず1.5℃へ向けた努力、可及的速やかな排出のピークアウト、今世
 紀後半における排出と吸収の均衡達成への取組に言及
⑥ イノベーションの重要性に言及し技術メカニズム及び資金メカニズムによる支援を位置づけ
「パリ協定」を踏まえた今後の日本の取組方針は、以下の3点です。
① イノベーション、特に革新的技術による解決を追求すること
② 国内投資を促し国際競争力を高めること
③ 国民に広く知恵を求めること
政府としては、既に决定しているエネルギーミックスと約束草案の2030年度に▲26%(2013年度比)を着実に推進することであります。
なお、今後の留意事項として以下の2点の指摘がありました。
① FSB(金融安定理事会)が、「気候変動リスクタスクフォース」を設置して、企業が機関投資家等に気候変動関連
 リスク情報を開示するための方策を検討する見込み
② 化石燃料に関する規制強化や需要減退により、資源関連企業が資産計上した確認埋蔵量などが減算処理されるシ
 ステミック・リスクに晒される
また、COP21に具体に参加した感想として、議長国がギリギリの国際交渉に長けたフランスでなければ決裂したかもしれないことと丸川環境大臣が大いに活躍したことのご披露が有りました。
質疑応答では、「気候温暖化を大前提としたCOPの議論について疑問を唱える研究者が増えている」或いは「CO2が増えれば温暖化するという気候感度については大きな不確実性が残っている」などについての真剣な議論で大いに盛り上がりました。
その後、毎年恒例の新年懇親会に移りました。COP21については、「地球温暖化の気候変動について大いに理解を深める良い機会だった」或いは「孫の世代になった時の地球や日本の温暖化状況について真剣に考えなければいけない」などの声が多く有りました。その他、新年早々からの株価や原油価格の大幅下落についての意見交換があり、今年も当研究会でしっかり勉強して行こうと語り合いました。
会議風景


【講師略歴】

三又 裕生(みつまた ひろき)様

1964. 1. 6 東京都生まれ
1987. 3 東京大学法学部卒業
1987. 4  通商産業省入省
1987. 4 ~ 特許庁 総務部 総務課
1990. 7 ~ 機械情報産業局 電子機器課
1991. 10~ 資源エネルギー庁 長官官房 省エネルギー対策室
1993. 7 ~ 米国留学(ワシントン大学、ハーバード大学)
1995. 6 ~ 機械情報産業局 情報処理振興課
1997. 7 ~ 産業政策局 産業技術課
1999. 4 ~ 中小企業庁 計画部 金融課
2002. 5 ~ 経済産業政策局 経済産業政策課
2003. 5 ~ 大臣官房 会計課 企画調査官
2004. 6 ~ 経済産業政策局 政策企画官
2006. 5 ~ 日本貿易振興機構(JETRO) ニューヨーク・センター 産業調査員
2009. 7 ~ 資源エネルギー庁 電力・ガス事業部 原子力政策課長
2011. 7 ~ 商務情報政策局 情報政策課長
2013. 7 ~ 中小企業庁 長官官房 参事官
2014. 7 ~ 大臣官房審議官(環境問題担当)COP20とCOP21に参加されています。