株式会社 一柳アソシエイツ

構想エネルギー21研究会

2013.05.21 更新

当社CEO・一柳が代表を務める構想エネルギー21研究会の第82回勉強会を開催しました。

今回は、日本アイ・ビー・エム株式会社 スマーター・シティー事業 新規事業開発部長 池田一昭様を
講師にお招きし、『スマートグリッドの今後の可能性と課題』について、エネルギー専門家から見る
スマートグリッドとICTの専門家から見るそれとは如何に異なるか、等の視点を含めて、お話し頂きました。

はじめに、IBMが定期的に実施している世界的調査結果に基づく「エネルギー業界の将来事業モデル」の
ご紹介がありました。それによれば、分散化・双方向の技術進展と消費者が主導権を握ることにより、
「受動的現状型」から「参加型ネットワーク型」に転換し、新たな技術がエネルギー会社と消費者双方に
利用され、消費者の多種多様なエネルギー利用ニーズに対応すべく新たなサービス・商品が開発される
ことになるとのことであります。すなわち、エネルギー業界に直接関わりのなかった多種多様な参加者が
新たに関与し、消費者はバリューチェーン参加者として位置づけられ参加型ネットワークを構成し、
分散電源・蓄電池・EV/PHVは運用と価値創出の両面で重要な役割を果たすことになります。

続いて、最新の調査では、エネルギー業界とソーシャル・ビジネスとの関連についても言及され、
消費者からの要望や消費者のアイデアを積極的に取得するツールと位置付けられ、新しいビジネスモデルの
創出がソーシャル・ビジネスで実現できる事例も出てきているとの説明がありました。

さらに、スマートコミュニティ実現のために、エネルギーのサプライサイドとデマンドサイドとの協調モデル
構築を提唱し、サービスプロバイダと電力・ガス事業者との連携とスマートメーターとHEMS/BEMSの
ゲートウェイとの連携がキーポイントであると強調していました。IBMの役割として、エネルギーデータを
統一して同じフォーマットでクラウド上に収集・蓄積、見える化など共通機能の提供に注力し、
引続きビジネスマッチングや案件の醸成に協力していくとのことであります。

質疑応答の時間では、各種実証実験への参加者の目的がはっきりしていないこと、政府機関や
企業のR&Dへの取組み姿勢の甘さ等々の指摘があり、大いに議論が盛り上がりました。

出席された方々からは、従来の個別のスマートメーターの機能やBEMS/HEMSのサービスの
説明からは分かりにくかった「スマートコミュニティ実現の課題」がはっきり理解出来て、
極めて有意義だったとの声が多くありました。

この後のワインを飲みながらの懇親会でも、様々な議論の輪が夜遅くまで出来ていました。

 

【池田一昭氏の略歴】
スマーター・シティー事業 新規事業開発部長
エネルギー、交通など、社会的、横断的な取り組み(新規事業)を担当
企業アライアンス、企業連携での大きな枠組みで、社会システムを構築
スマートコミュニティ・アライアンス(JSCA) 企画委員会 委員、国際戦略WG 委員
経済産業省 これからの住宅を取り巻く環境整備等に関する研究会 委員
資源エネルギー庁 蓄電池システム産業戦略研究会 委員
eSHIPS スマートハウス整備WG
インフラ・プラットフォームWG主査
運用ガイドラインWG 副主査

  

池田一昭氏

池田一昭氏