株式会社 一柳アソシエイツ

構想エネルギー21研究会

2013.07.23 更新

一柳が代表幹事を務める構想エネルギー21研究会の第83回勉強会を開催しました。

今回は、まず日本政策投資銀行 産業調査部長 穴山眞様に、『シェール・ガス革命の見方(産業界への影響と日本への示唆)』についてお話し頂きました。続いて、東京ガス株式会社 代表取締役兼副社長執行役員 村木茂様から『エネルギー政策における天然ガスの役割と東京ガスの戦略』との題で、ご講演を頂きました。
 
日本の貿易収支は、原発停止による影響で火力発電用LNG輸入の著増から、昨年赤字転落し現在も継続しております。
一方、北米中心にシェールガスなどの非在来型の天然ガスの生産が急増し、近い将来日本へのこのLNGの輸入が始まることになりました。
穴山様には、この『シェール・ガス革命』の米国を中心とした状況と日本企業への影響について、現地のヒヤリングに則した具体的なお話を多方面に亘りお伺いしました。米国では、「天然ガス火力発電シェアが、12年前に比し倍増している。」、「自動車燃料のCNG(圧縮天然ガス)の価格低下により、将来大型車のCNG車の販売シェアは34%になり得る。」、「化学製品原料の米国のエタン価格が、サウジを下回っている。」などであります。
日本企業については、「発電用のガスタービン工場の米国進出」、「自動車用CNGタンク用の炭素繊維の需要拡大」、「化学メーカーのエチレン誘導品工場の米国進出」などの指摘がありました。
 
村木様からは、同社の天然ガス価格低廉化に向けた取り組みをお話し頂きました。天然ガスの確保に向けた働きかけ強化として、共同調達・官民連携などによる交渉力強化や日韓協力・中国との対話の継続或いは資源外交・資源金融による支援などを提唱されました。新規供給源の確保策として、北米シェールガスの調達やロシアの天然ガスプロジェクトの国際パイプラインによる調達計画の検討を進めております。

また今後のエネルギーミックスの在り方についての説明もありました。即ち、供給サイドにおいてあらゆるエネルギーの選択肢を持ち、需要サイドにおけるエネルギーのベストミックスとエネルギーマネジメントにより、省エネルギーとエネルギーセキュリティ向上を実現する『スマートエネルギーネットワーク』の構築を目指しています。

同社の経営戦略として『LNGバリューチェーンの高度化』を標榜しております。具体的テーマとして、
①原料価格の低減を図るとともに海外事業の拡大
②エネルギーの安全かつ安定的提供
③様々なニーズに合わせたエネルギーソリューションの提供
④次世代を見据えた技術開発・IT活用の推進
を掲げております。
 
フリーディスカッションの時間では、資源外交や国際パイプライン敷設における政治のリーダーシップ並びに政府の協力を如何に取り付けるのか、あるいは異業種企業との共同プロジェクトの組成方法などについて、ストレートな意見交換があり、
大いに議論が盛り上がりました。
 
出席された方々からは、シェールガス増産を契機としたグローバルなエネルギー業界のパラダイムシフトについて俯瞰出来、今後の経営に大変参考になった、との声を聴きました。
この後のワインを飲みながらの懇親会でも、様々な議論の輪が夜遅くまで出来ていました。
 
 
【村木 茂氏 略歴】

村木 茂 氏

村木 茂 氏

昭和47年6月 東京大学 工学部卒業
昭和47年7月 東京ガス株式会社入社
平成9年7月  同 原料部原料調査開発グループマネージャー
平成12年6月 同 原料部長
平成14年6月 同 執行役員 企画本部原料部長
平成16年4月 同 常務執行役員 R&A本部長
平成18年4月 同 常務執行役員 技術開発本部長
平成19年4月 同 常務執行役員 エネルギーソリューション本部長
平成19年6月 同 取締役常務執行役員 エネルギーソリューション本部長
平成22年4月 同 代表取締役兼副社長執行役員
                            エネルギーソリューション本部長
                            大口エネルギー事業部長
 
【穴山 眞氏 略歴】

穴山 眞 氏

穴山 眞 氏

昭和61年3月 東京大学経済学部卒業
昭和61年4月 日本開発銀行入行
平成11年10月 日本政策投資銀行 政策企画部 調査役
平成14年3月 米国ブルッキングス研究所(派遣)
平成19年4月 業務企画部 課長
平成20年10月 株式会社日本政策投資銀行 ロサンゼルス首席駐在員
平成21年4月 業務企画部 次長
平成22年6月 産業調査部 担当部長
平成23年6月 産業調査部長

 

 

 

 

2013.7.23勉強会風景