株式会社 一柳アソシエイツ

構想エネルギー21研究会

2013.09.05 更新

一柳が代表幹事を務める構想エネルギー21研究会の第84回勉強会を開催しました。

2013年9月4日 当社社長一柳が代表幹事を務める構想エネルギー21研究会の第84回勉強会を開催しました。

 一柳が代表幹事を務める構想エネルギー21研究会の第84回勉強会の講師に、富士通総研経済研究所主席研究員柯隆氏をお招きして、『中国・政治・経済・エネルギー事情』とのテーマで講演を頂きました。柯氏は、中国南京市生まれで25年間の中国生活を経て1988年に来日されました。愛知大学及び名古屋大学大学院修士課程を修了後、長銀総合研究所を経て1998年富士通総研に入りました。中国並びに日本の各25年の経験を有するネイティブの鋭い洞察力と多様なネットワークを駆使して、中国の政治経済情勢についてマスコミ等で客観的な情報発信をされ、大活躍をされています。

 はじめに中国の経済社会情勢の現状について説明がありました。経済は、マクロ統計データよりも減速しています。
それが実感できる事例として、
幹線道路のコンテナトラックの通行量
デパートのハイエンド商品の売行き
高級ホテルの稼働率などから判断すると、デフレの入り口に入りつつあると懸念しています。
ただ、ファンダメンタルズは製造業を中心に毀損はしていないので、以下に説明する課題を克服できれば成長維持は可能であります。なお、社会構造として格差は大きく、総人口の3%(約4千万人)の上層部の共産党幹部や国営及び民営企業の
幹部が、国富の75%を占有しているとのことです。

 次に今後の経済成長維持のための課題を説明されました。
国民の格差拡大傾向を如何に是正していくかであります。都市部住民をミドルクラスとして台頭させることと
 農村部住民のボトムアップであります。富の再配分のためには、企業に労働組合が許されていないことと
 農民の収入を確保する農協機能がないことが問題です。
既得権益を有し市場を独占している国営企業を民営化等により弊害を排除することであります。
現行税制として、給与所得のみが累進税率ですが、その他収入は低い定率税制であり、相続税は生前贈与を含めて
 存在していないことなどが問題であります。
金融制度としては、預金金利の自由化の遅れと預金保険機能の未整備が問題であります。
 なお、現在シャドーバンキング(影の銀行)問題が話題になっていますが、地方政府が設立した投資会社の
 保有する債務が最大の問題です。このリスクは、現実的なものになってきています。
市場経済を維持発展させるためには、納期や品質を守るという「信用」が必須課題であります。今の中国人は、
 信ずるものがないのではないかと思われます。学校教 育などで孔子・孟子、仏教・道教・儒教、古典文化が
 教えられていないので、これらのDNAを持ち得ていません。これらを如何に修得させるかが大きな課題です。

講演後の懇親会を含めて、参加者からは、「お隣の国の中国について、初めてお聞きすることも多く大変参考になった」
「さすがに今も毎月中国を訪問している柯隆さんの情報収集力はすごく、大変勉強になった」との声を多く聞きました。

柯 隆 氏

柯 隆 氏

【柯隆氏の略歴】

1963年 中国南京市生まれ
1988年1月 来日
同年4月 愛知大学経法学部入学
1992年3月 愛知大学卒業
同年4月 名古屋大学大学院経済学研究科入学
1994年3月 名古屋大学大学院経済研究科修士修得(理論経済学)
同年4月 長銀総合研究所国際調査部研究員
1998年 富士通総研経済研究所主任研究員
2006年より現職

 

 

講師と代表会議風景