株式会社 一柳アソシエイツ

構想エネルギー21研究会

2013.11.28 更新

一柳が代表幹事を務める構想エネルギー21研究会の第85回勉強会を開催しました。

2013年11月26日 当社CEO・一柳が代表幹事を務める構想エネルギー21研究会の第85回勉強会を開催しました。

今回は、資源エネルギー庁 電力・ガス事業部長 高橋泰三様に、『日本のエネルギー政策と電力改革の行方』との題で、ご講演を戴きました。
高橋様は、エネルギー政策分野のプロ中のプロで以前2008年2月原子力政策課長時代に当研究会の講師として登壇いただいております。

先ずはじめに現在のエネルギー情勢と課題について概観しました。世界のエネルギー需要急増などの国際的要因と低いエネルギー自給率などの国内要因に加え、東日本大震災及び東電福島原発事故により様々なリスクが顕在したことにより、安定供給不安・電力需給のひっ迫やエネルギーコストの上昇を引き起こしました。このようなエネルギー制約を克服し、国民生活と経済活動を支える安価で安定的なエネルギー構造(生産(調達)・流通・消費)の実現が課題であります。

また、現政権の原子力政策についても言及されました。出来る限り原発依存度を低減させていく方向で責任あるエネルギー政策を構築していく。原発再稼働については原子力規制委員会の専門的な判断に委ね立地自治体等関係者の理解と協力を得るように取り組む。原発新増設についてある程度時間を掛けて腰を据えて検討していく。放射性廃棄物の最終処分について次の世代に先送りすることなく国が前面に立ち取組を強化していく。原発輸出について東電福島第一原発事故の経験と教訓を世界に共有することにより世界の原子力安全の向上に貢献していくことが我が国の責務である。等々であります。

本題の『電力システム改革』について、改革の3つの目的、改革の3本柱、3段階の実施スケジュールの順に説明されました。3つの目的は
安定供給を確保
電気料金を最大限抑制
需要家の選択肢や事業者の事業機会を拡大
であります。
改革の3本柱は
広域系統運用の拡大
小売・発電の全面自由化
法的分離の方式による送配電部門の中立性の一層の確保
であります。
実施スケジュールについて
第一段階広域的運営推進機関の設置2015年目途
第2段階小売参入の自由化2016年目途
送配電の中立化・料金規制の撤廃2018~2020年目途
であります。

更に、電力システム改革と相まって消費者に多様な選択肢が示されるガスシステムの構築のため「ガスシステム改革」の開始について話されました。論点は①全面自由化を含めた小売の自由化範囲の拡大②供給インフラのアクセス向上と整備促進であり、一般ガス事業だけで200を超えるガス事業者を一律に扱うのではなくガスの調達・供給設備による分類を踏まえて検討するということです。
今回の『電力システム改革』のテーマは、我が国経済の国際競争力の維持向上に大きな影響を及ぼすもので、質疑応答ではさまざまな業態の出席者から多様な意見が出され、これらについて高橋様から丁寧なお答えを頂戴しました。自由化により電気事業者は儲からなくなり原発は民間維持が不可能になるのではないか。自由化により停電が増えないか。自由化とCO2削減の環境問題との関係。等々の意見交換があり、出席者の皆様からは大変有益な機会であったとの声を多く聞きました。ボジョレヌーボーを飲みながらの懇親会でも、様々な議論の輪が夜遅くまで出来ていました。

代表幹事 一柳良雄   会議風景

 

 

 

 

 

 

 
【高橋泰三氏略歴】高橋 泰三 氏
昭和60年 4月 通産省入省(大臣官房総務課)
平成13年 1月 経済産業省原子力安全・保安院政策企画官(併)制度審議室長
平成14年 7月 経済産業省中小企業庁事業環境部財務課長
平成15年 9月 経済産業大臣秘書官(事務取扱)
平成17年11月 経済産業省製造産業局産業機械課長(併)ロボット産業室長
平成19年 7月 経済産業省資源エネルギー庁電力・ガス事業部原子力政策課長
平成21年 7月 経済産業省資源エネルギー庁長官官房総合政策長
         (併)予算執行評価室長
平成22年 7月 経済産業省大臣官房秘書課長
平成25年 6月 経済産業省資源エネルギー庁電力・ガス事業部長