株式会社 一柳アソシエイツ

構想エネルギー21研究会

2014.05.23 更新

一柳が代表幹事を務める構想エネルギー21研究会の第88回勉強会を開催しました。

 2014年5月21日 当社社長一柳が代表幹事を務める構想エネルギー21研究会の第88回勉強会の講師にソフトバンク株式会社 社長室長 三輪茂基氏をお招きして、『ソフトバンクの電力事業の取組み』とのテーマで講演を頂きました。

2014.5.21会議風景

 まず、ソフトバンクが電力事業に参入するきっかけとなった東日本大震災について言及されました。大震災によって基地局が破壊され、通信インフラ事業も電力インフラが利用できなければ何もできないということに気づかされたことが大きな契機になりました。また、昼夜を問わず大量の電力を消費する通信事業者にとって、電力コストをどうマネジメントしていくかということは大きな課題となっています。

 次に、国内の自然エネルギー事業として、固定価格買取制度の開始より積極的な投資を重ね、2014年4月現在で竣工及び建設予定の累計発電施設は292.3MWに達しています。風力よりも太陽光発電の方が多く導入されている理由としては、風力発電の許認可に時間がかかるという問題点を挙げられました。電力システム改革の下、2016年を目標に家庭用エネルギー小売り事業にも参入していく予定とのことです。

 さらに、「アジアスーパーグリッド構想」という、アジアの主要都市を高圧直流送電網で結ぶという気宇壮大な計画の話がありました。そのうち主要なエネルギー供給地として挙げられたのが、ゴビ砂漠を有するモンゴルです。モンゴルの風力、太陽光の潜在エネルギー量は、2030 年におけるアジア全体の予想消費電力に匹敵し、実際にソフトバンクはモンゴルでの風力発電事業に着手し始めました。政治的リスクはあるものの、既に風況の良い場所を選定し、7GW超のポテンシャルを持つ220,000haの敷地を確保しています。

 最後に、燃料電池を利用した分散型電源事業について説明されました。駐車場2台分で200kWの出力を出せるBloomエナジーサーバーは、安定供給、高い発電効率、予測可能な電気料金といった3つのメリットを持っているとのことです。アメリカ東海岸にハリケーンが襲来した際に、大規模な停電があったにも関わらず、ガス管を利用した燃料電池は稼働を続けた例を挙げ、安定した電力供給が求められる重要施設に導入実績があるとのことでした。

吉沢優一 氏

吉沢優一 氏

 加えて、東大大学院生で事務局の吉沢優一さんから、
『サウジにおける太陽光発電の実現可能性』について、3月に現地調査された
体験を交えての話を頂きました。

 その後の質疑応答や三輪氏も参加された懇親会では、出席メンバーから
「国を超えたスーパーグリッドをアジアで実現するといった発想は非常に面白い」「電力・ガスといった公的企業の中では浮かばない発想が多く参考になった」との声を多く聞きました。

 

 

 

三輪茂基 氏

三輪茂基 氏

三輪茂基氏略歴
1991年、三井物産(株)入社、東京・シドニー・ブリスベンに駐在。
主に資源・エネルギー開発投資案件に従事。2011年、ソフトバンク(株)入社、
経営戦略室室長として現在に至る。
2013年、Bloom Energy Japan株式会社代表取締役社長兼務。
早稲田大学第一文学部史学科(西洋史)卒、豪州国立マッコーリー大学経営大学院財務管理学修士(MFinMgmt)・経営学修士(MBA)、
ハーバードビジネススクールGeneral Management Program(GMP)修了。