株式会社 一柳アソシエイツ

構想エネルギー21研究会

2014.10.22 更新

一柳が代表を務める構想エネルギー21研究会の施設見学会を実施しました。

 当社社長一柳が代表幹事を務める構想エネルギー21研究会は、九州電力株式会社のご厚意により、10月17日に「八丁原発電所」の地熱発電所の見学会を実施しました。この見学会は過去10年以上続いている現地訪問見学会ですが、今回の八丁原発電所は昭和52年から稼働している国内最大規模の地熱発電所で、高度な運転状況や地元地域との共生に努力されている姿をつぶさに拝見でき有意義なものとなりました。 
 冒頭、代表一柳が挨拶をし、地熱は今後我が国の再生可能エネルギー発電の中で最も力を入れていくべき部門であることを強調しました。
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秋好 真人 氏

秋好 真人 氏

 

 九州電力発電本部地熱センター長秋好真人様からご挨拶と地熱開発の概要説明を頂きました。地熱発電の主な特徴は、

①純国産のエネルギーで再生可能エネルギーの中では最も安定しておりベース
 電源として運用可能であること(八丁原は37年間長期安定運転)
②適正に開発・運転すれば利用率が高いこと
(九州電力の全地熱発電の累積利用率は82%)
などであります。

 

福田 孝一  氏

福田 孝一 氏

 次に、八丁原発電所長福田孝一様から発電設備の概要説明を頂きました。
① 発電能力は、1・2号機合計11万キロワットで、年間ほぼ20万キロリットル
 の石油の節約が可能です。
② 蒸気井は約30本あり、最も深いもので3,000メートルあります。蒸気量は毎
 時890トンに上っています。
③ 気水分離器で分離した熱水の圧力を下げることにより再度蒸発させ発電に利
 用する「ダブルフラッシュシステム」の採用で、出力を約20%増加させてい
 ます。
④ 地元の九重町の冷暖房/給湯や花卉栽培に地中熱を利
 用し、地域共生に努力しております。
 


 この後の実地見学や質疑応答で参加者が注目した点は以下の事項です。
① 長期に安定運転を確保するために、地下深部の地熱貯留層から蒸気と熱水を取り出す量と使用された熱水を再び
 地下に戻す量を永年の経験智により繊細にコントロールしていること
② パイプや還元井の目詰まりを惹起する蒸気や熱水に含まれるシリカの除去方法の高度化
③ 地元の旅館業者、農業従事者その他住民への永年のきめ細かなサービス提供により、地域との共存共栄に全職員
 が真摯に取組んでいること

これらの事項を踏まえ、改めて発電所現場における日本人の現場力の素晴らしさを再確認させて頂いた見学会でした。


 日本の地熱発電のポテンシャルは、米国、インドネシアに次いで世界第3位とのことです。今後とも八丁原発電所を先行事例として、全国各地で地元の利害関係者の調整がスムーズに進められて地熱発電のシェアが向上することを期待します。

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発電所の蒸気を望む高台にて

発電所の蒸気を望む高台にて

意見交換会会場にて

意見交換会会場にて


 見学会参加者メンバーによる同日夜の懇親会では、昼間の堅いエネルギー関係の議論ばかりでなく、ユーモアなども織り交ぜた懇親会で大いに盛り上がり、改めて親交を深める良い機会となりました。