2014.11.26 更新
一柳が代表幹事を務める構想エネルギー21研究会の第91回勉強会を開催しました。
2014年11月26日 当社社長一柳が代表幹事を務める構想エネ
ルギー21研究会の第91回勉強会の講師に資源エネルギー庁長官
の上田隆之氏をお招きして、『エネルギーをめぐる諸問題』を
テーマにお話しを頂きました。
冒頭、エネルギー産業についてのコメントが有りました。エ
ネルギー市場を自由なマーケットに変えて新しいビジネスを創
出し日本産業活性化の原動力としたいので、従来からの業界企
業には引続き頑張ってもらうとともに、様々な産業からの新規
参入を大いに歓迎したいとのお話がありました。
まず、東日本大震災以降の新たなエネルギー制約として3点
の指摘がありました。
① エネルギー安定供給面から、海外からの化石燃料依存度が
約88%で、エネルギー自給率は6%とOECD加盟国で下から
2番目であること(因みにルクセンブルグが最下位)
② 国民生活・経済面から、火力発電焚き増しの燃料費増加約3.7兆円(試算)。
電気料は震災前と比べ2割以上上昇
③ 地球温暖化面から、一般電気事業者のCO2排出量1,1億トン増加し、日本の排出量の約9%分
次に、本年4月に閣議決定されたエネルギー基本計画について説明されました。エネルギー政策の基本的視点は“3E+S”であること。さらに、各エネルギー源を如何に組み合わせていくかにより、強味が活き弱味が補完される多層化・多様化した柔軟なエネルギー需給構造を構築すること。
これにより、重要なベースロード電源として原子力、石炭、一般水力の外に地熱も加えております。
さらに、電力システム改革の3段階実施スケジュールについて言及されました。
① 第1段階として、広域的運用機関が来年4月に設立されます。
② 第2段階として、2016年4月を目途に小売・発電の全面自由化され、参入が自由化されます。
③ 第3段階として、2018~2020年を目途に法的分離の方式による送配電部門の中立性の
一層の確保を目指します。
このほか、タイムリーなテーマである、原発再稼働、再生可能エネルギーの電力会社との接続問題、水素エネルギーの利活用、シェールガス革命などについての説明を頂きました。更に、明るい話題として、メタンハイドレードのお話しも頂きました。
質疑応答やその後の上田氏も参加されたワインを飲みながらの懇親会では、率直な質問や提言が出されて大いに盛り上がりました。多様な業界から参加されている会員企業の出席者からは「これからの企業活動に大いに励みとなるお話が聞くことが出来た」との声が有りました。
【講師略歴】
東京大学法学部卒業
1980年4月通商産業省入省、1986年6月米国ワシントン大学留学
1996年6月日本貿易振興会パリ・センター貿易保険事務所長
その後、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長、
大臣官房審議官(エネルギー・環境担当)、総括審議官、
大臣官房長、製造産業局長、通商政策局長などを歴任し
2013年6月より資源エネルギー庁長官に就任