株式会社 一柳アソシエイツ

構想エネルギー21研究会

2015.01.22 更新

一柳が代表幹事を務める構想エネルギー21研究会の第92回勉強会を開催しました。

 2015年1月19日 当社社長一柳が代表幹事を務める構想エネルギー21研究会の第92回勉強会の講師にトヨタ自動車株式会社 常務役員 小木曽聡氏をお招きして、『燃料電池車等の次世代環境車戦略』をテーマにお話しを頂きました。

小木曽 聡 氏

小木曽 聡 氏

 まず、トヨタの環境技術開発の考え方についてお話しされました。それはサステイナブルなモビリティ社会、即ち、誰もが自由に、より快適・安心に、クリーンに持続的にモビリティを利用できる社会を目指すことであります。その基本スタンスは、①省エネルギー ②燃料多様化への対応 ③エコカーは普及してこそ環境への貢献 とのことであります。

 次に、省エネルギーへの取組について、小木曽氏ご自身が直接関与されてきたプリウスの開発に即して説明されました。1993年32歳の時、さらなる燃費向上の為にはハイブリッド(HV)技術が必要とのことで、自ら手を上げてプリウス検討チームに参画しました。プリウスHV誕生の背景は、化石エネルギー消費急増に対処するためであり、そのキーワードは、①エネルギー対応
②CO2削減 ③大気汚染防止 でありました。初代プリウスが’97年12月に発売され、その後順次改良が加えられ2代目が’03年9月、3代目が’09年5月に販売されました。本年後半には4代目が発売される予定です。HV車の世界販売台数は、発売から9年後の2012年に年間100万台を達成しました。更に2年後の2014年に年間700万台に到達しております。

 さらに、燃料多様化への対応として、ガソリン・軽油以外の電気、水素、バイオ燃料、天然ガス等のそれぞれの特徴や用途別棲み分けについての説明がありました。この検討課題を進める過程でFCV(Fuel Cell Vehicle)の開発にも関与されています。

 昨年12月に発売されたFCV「MIRAI」の初年度生産台数目標は700台で、そのセリングポイントは以下の5点です。
① 20年以上にわたる開発の集大成 コンパクト、高性能な新開発トヨタFCシステム
② IT協調でつながる安心 水素ステーション案内、FCV専用見守り
③ 一目でMIRAIとわかる先進内外装デザイン
④ FCVならではのFun to Drive ~加速、ハンドリング、乗り心地、静粛性~
⑤ 災害時に力を発揮 大容量外部電源供給システム
小木曽氏からは、発売から9年間かかったHV車の年間販売100万台が、このFCVでは何年掛
かるかが大いに気になるとのことでした。

2015.01.19KEK会議風景

 質疑応答では、率直な質問や疑問が交わされ、小木曽氏の苦労話や本音の話なども出てきて、大いに盛り上がりました。小木曽氏も参加されたワインを飲みながらの新年懇親会では、より率直な意見交換がなされました。出席者からは、小木曽氏の簡潔要を得て、実直な話しぶりについて、「よくFCVが理解できた。」「小木曽さんのファンになった。これからも大いに頑張ってほしい。」或いは「トヨタをはじめ日本のモノ作りの素晴らしさを再確認した。」などの声がありました。


小木曽聡プロフィール【講師略歴】
東京工業大学工学部機械工学科卒業
1983年4月  トヨタ自動車株式会社入社 シャシー設計部に配属
1993年10月  G21(初代プリウスの検討チーム名)初期活動に参画
2005年8月~  第2トヨタセンターZFチーフエンジニアとして
       3代目プリウスの開発を担当
2007年~   エグゼクティブチーフエンジニアとしてプリウス・プリウスα・アクア、
       PHV、EV、FCVの企画・開発を担当
2013年4月  常務役員就任 製品企画本部副本部長(小型車及び環境車の製品企画・開発担当)
       シャシー技術領域長