株式会社 一柳アソシエイツ

構想エネルギー21研究会

2015.11.12 更新

一柳が代表を務める構想エネルギー21研究会の施設見学会を実施しました。

当社社長一柳が代表幹事を務める構想エネルギー21研究会は、11月5,6日に沖縄県の3か所の発電所の見学会を実施しました。研究会会員企業の電源開発株式会社の「沖縄やんばる海水揚水発電所」と「石川石炭火力発電所」並びに沖縄電力株式会社の「吉の浦火力発電所」の3か所です。この見学会は2003年から開始して今回で12回目の施設訪問見学会です。今回は、離島を多く抱え、本州のような他地域からの電力融通も得られない中、更には近時の太陽光中心の再生可能エネルギーによる不安定な電力供給との調整に取組みながら、沖縄地方の電力安定供給に日夜努力されている現地の皆様の姿をつぶさに拝見でき有意義なものとなりました。


やんばる-04 「沖縄やんばる海水揚水発電所」では、高山英碩 海水揚水グループリーダーから説明を受けました。現在の操業は、石川火力発電所からの遠隔操作で行われています。
 当発電所は日本で唯一の海水の揚水発電所で、1991年に工事を始め1999年に試験運転を開始しました。この間貴重な生態系の維持に配慮する環境保全対策には特に力を入れました。有効落差136mの最大出力3万kWで1万戸分の電力をカバーします。発電所の特徴は、上部調整池のゴムシートによる遮水と海水漏水検知復水システム、FRP管採用の水圧管路、特殊ステンレス鋼採用ポンプ、可変速揚水発電システムなどであります。
 質疑応答では、海水揚水発電所の適地としては東北三陸海岸などがあり、更には東南アジアへのインフラ輸出など、大規模化を実現して商業ベースに適うプロジェクトの可能性について議論されました。
やんばる-01やんばる-02やんばる-03
 


石川石炭火力-05 次に、「石川石炭火力発電所」では、榎並正雄 所長から説明を受けました。
 石油ショック以降の電力安定供給策のため、沖縄県で初めての石炭火力発電所として1984年に着工され、1986、1987年に1号機2号機が運転開始しました。最大出力は合計31万2千kWで、燃料の石炭はインドネシアとオーストラリアから輸入しており、台風の多い沖縄地方に配慮して他地域より多い45日分のストックを確保しています。近時の太陽光発電の増加に伴い、従来のベースロード電源の役割のほか調整電源の役目を果たしております。
石川石炭火力-01石川石炭火力-02石川石炭火力-03
 


 更に、「吉の浦火力発電所」では、沖縄電力 電力発電部理事 久貝博康 発電部長と
大城幸也 吉の浦火力発電所長から説明を受けました。
 LNG火力発電設備は、2006年に着工され2012、2013年 に1号機2号機が運転開始しました。最大出力は合計50万2千kWです。特徴は、LNGコンバインドサイクル発電で、LNGの燃焼ガスの力で回すガスタービンとその排熱をボイラで回収し蒸気をつくりその力で回す蒸気タービンを組み合わせた熱効率の高い複合発電方式であります。
 この他、東日本大震災を踏まえた災害対策の一環として、沖縄本島全域が電源喪失した場合の系統立ち上げ電源として吉の浦マルチガスタービン発電設備を本年3月に運転開始しております。燃料は、LNG、灯油、バイオエタノールです。
 質疑応答では、需給変動に対応する給電指令所のEDC(経済負荷配分制御)運転や離島を含めた沖縄県の電力安定供給の苦労話し更には今後の電力自由化への対応などについての議論が有りました。
吉の浦-01吉の浦-02吉の浦-03
 


 見学会参加者メンバーによる沖縄の夜の懇親会では、昼間の堅いエネルギー関係の議論ばかりでなく、ユーモアなども織り交ぜた会話で大いに盛り上がり、改めて親交を深める良い機会となりました。
 今回の見学会で大変お世話になりました電源開発と沖縄電力の職員の皆様に改めて御礼申し上げます。