株式会社　一柳アソシエイツ

　一志会は、「公の精神」のもとに積極的に社会的責任を果たそうとの想いを共有する大企業経営幹部の会員制の「コミュニティー」ですが、10月21日に第24回例会を開催しました。

　今回のゲストは、一柳がそのお人柄とともに経営者として尊敬している村井勝氏をお迎えいたしました。村井氏は、UCLAを卒業後、IBM、日本IBMで幅広くご活躍され、日本でのコンパック立ち上げに参画し、社長、会長として大いに手腕を発揮された経歴をお持ちの、いわばIT業界のご意見番的存在です。Entrepreneur of Year Japanの審査委員長を長年務めるなど、日本でのベンチャー支援にも尽力されておられ、「ベンチャー支援」についての一柳の先生役でもあります。

村井 勝 氏

　今回は、村井氏が、日本でも≪公・民・学が協力し合って新規産業を育てる土壌づくり≫を目指すべきとの信念のもとに、2009年に設立した一般社団法人「TXアントレプレーナーパートナーズ」の活動を紹介しながら、新規産業創出支援の必要性と具体的な取組の様子・成果についてお話されました。
　村井氏は、日本経済再生の原動力は新規産業の創出にあることを欧米の事例を紹介しながら説明されたうえで、日本では大学・公的研究機関と民間企業との連携や、行政も参加し事業活動がしやすい環境を作ることでは立ち遅れていることを指摘されました。その壁を超えるロールモデルとして、先端技術の集積地(つくば)とビジネスとの融合を図る拠点をつくばエクスプレス(TX)の「柏の葉」駅エリアに展開することを企画し、その活動の一翼を担う組織として「TXアントレプレーナーパートナーズ」を立ち上げました。この組織は、自らのポケットマネーでベンチャーを支援するエンジェル、経営全般をサポートするメンター(サポーター)に、大学や研究所発の先端技術ベンチャー(アントレプレーナー会員)などから構成され、エンジェルは出資先の社外取締役として積極的に支援、メンターも無償で協力するという体制がとられています。現在のアントレプレーナー会員は120社まで増えて、支援施設「KOIL(柏の葉オープンイノベーション・ラボ)」でいつでも相談・支援が受けられる体制をとるとともに、その中からエンジェルが積極的に支援する企業を選んで育てる取り組みをしています。また、この地域を「柏の葉スマートシティ」として「環境共生都市」「健康長寿都市」「新産業創造都市」を掲げて、これからの時代にふさわしい新しい都市づくりを進めていることも強調されました。
　最近は、スピードの時代、オープンイノベーションの時代といわれますが、我が国の先端技術を大企業などとの橋渡しをすることで新規産業の立ち上げを加速するこの取り組みは、既にいくつかの成功事例も出てきており、注目を浴びている、と熱っぽく語りました。
　会場では、興味深く聞き入っており、講演後、村井氏に「とても刺激を受けた」、「ぜひ、一度、見学させてほしい」、「こういう技術に関心があるので、ぜひ、紹介してほしい」などと、話し合われていました。

椎名 茂 氏

島 光博 氏

　会員の交流時間帯では、まず会員有志による自主企画である「特別例会」について、幹事を務めていただく椎名・PWC社長、島・島精機製作所副社長からご案内がありました。来年2月はじめに、繊維機械メーカーとして世界のアパレルメーカーを顧客にオンリーワンの最新鋭機を製造販売する和歌山の島精機製作所を視察する研修計画です。この特別例会は、宿泊して時間を気にせずに参加者が意見交換するもので、早速、参加したいとの声が上がるほど関心を呼びました。
　続いて、会員からの近況報告として、荻原・エコ・パワー社長、小澤・ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング社長、土本・東京証券取引所取締役常務執行役員、神足・くろがね工作所専務取締役、松尾・三越伊勢丹ホールディングス取締役常務執行役員から、それぞれホットな報告をいただきました。
　その後も、ゲストの村井氏を囲んでの交流が続き、予定時間を大幅に過ぎるまで終始、和やかな雰囲気となりました。

荻原 宏彦 氏

小澤 洋介 氏

土本 清幸 氏

神足 尚孝 氏

松尾 琢哉 氏