株式会社 一柳アソシエイツ

特別講座

2014.01.14 更新

2014年1月8日 第70回一柳アソシエイツ特別講座を開催しました

 今回は、1年ぶりに開催となった特別講座です。講師として、政策研究大学院大学教授の大田弘子氏(2006年より第1次安倍内閣・福田内閣における経済財政政策担当大臣を歴任し、現在は政府の規制改革会議の議長代理を務めおられ、一柳とは、お酒を飲みながら勉強する仲間です。)をお招きし、「日本の経済・世界の経済をどうみるか」と題して、これからの世界経済、2014年の日本経済の課題等に関しご講演を頂きました。


大田弘子 氏

大田弘子 氏


 世界経済について大田氏は、昨年全体的に厳しかったが今後はユーロ圏や米国の回復が予測され、全体としての回復も予想される。中国景気の傾向について見解は分かれるものの、インドは徐々に回復成長傾向にある。ただしユーロ圏の金融危機のリスクは残存し、インドネシア等での賃上げ傾向やタイの政情不安と、アジア新興国の経済も楽観視する訳にはいかない。
 日本経済の課題として、異次元政策が2年目となり、今後、①インフレ成長
率2%を目標とするデフレ脱却、②設備投資や賃金上昇につながる成長戦略の
推進、③本格的な社会保障制度改革の着手、④原発再稼働問題の下、日本の
電力構成も含めた今後の方向性の見定めに注目している。
 国内では、消費税増税後にGDP成長率が一時的に落ちると予想するものの、
7月以降は成長が回復すると考える。輸出は円安効果で昨年から緩やかな回復基調にあり、個人消費も戻り始めている。一方で、TPPが本格的になる中、グローバル化に対する労働市場は依然として硬直的である。マザー工場や先端医療などでイノベーションの喚起や、他方で設備投資を推進し生産性の向上が必要である。また法人税率の引き下げにより企業の国内立地の魅力を創出する必要もある。そして、何より、医療・介護・保育・農業等の各分野で規制改革が必要であり、自分も積極的に規制改革を推進していきたい。最後に、2020年東京五輪というマイルストーンがある中、政府は規制改革で民間の活動の余地を広げる一方で、民間も新たな高度知識産業や、若者・女性・高齢者の雇用も進めて欲しいと話しました。
 大田氏からは、とても分かりやすく、歯切れの良いお話しをいただいた後、参加者の方々から積極的な質問がありました。特に、法人税の引き下げや、若手、女性等の人材の活用方策に関して活発な質疑が行われました。
 年頭に当たり、景気も回復基調にあり昨年五輪開催も決まった明るい年明けではありますが、課題の山積する日本経済についての大田氏の講演は大変関心が高く、参加者は90名を超え、大変好評でありました。
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