株式会社 一柳アソシエイツ

特別講座

2015.07.25 更新

第79回一柳アソシエイツ特別講座を開催しました。

2015年7月22日 第79回一柳アソシエイツ特別講座を開催しました。
 今回の特別講座は、日本エネルギー経済研究所 研究顧問の十市勉氏をお招きし、「複雑化する内外エネルギー情勢と今後の展望」と題して、エネルギー問題のプロである十市氏から、これからのエネルギー情勢の見方、政策の方向についてご講演を頂きました。
 十市氏は、一柳が資源エネルギー庁に勤める頃からずっと今日まで、エネルギー分野の先生役の存在であり、以来情報交換を行いながら交友を続け親しくしています。


十市 勉 氏

十市 勉 氏

 講演の序盤では、世界のエネルギー情勢について解説いただきました。アメリカのシェール革命、中東各国の政権崩壊、中国の資源戦略、気候変動問題等、日本を取り巻く世界のエネルギー情勢の日本に与えている影響、そしてこの影響を考慮した日本のエネルギー戦略のあり方についてお話いただきました。
 中盤では序盤で解説いただいた世界の情勢の中でも、特に日本に大きな影響を与える中国の現状について触れられ、南シナ海での基地建設による領海化、原子力発電施設の開発ラッシュ等、中国における資源確保の必要性、エネルギー政策の狙いについて深い洞察による分析をお話しいただきました。益々影響力を増す中国との国交にあたり、「協力と競合」をキーワードとして、関係を構築すべきであるという持論を展開いただきました。
 終盤では日本のエネルギー政策についてお話いただきました。まず、東日本大震災以降の電源種別割合とCO2の排出量の推移等日本の現状についてご説明いただきました。そして現状をふまえて、日本の今後の課題は、安定供給、効率的な発電、CO2排出量の削減、電力システム改革、安全性の確保を考慮した将来の電源構成の検討であるという、エネルギー分野の専門家ならではのご意見をいただきました。
 そして最後に、日本のエネルギー戦略の在り方として、多様性をもったエネルギーミックスの実現の重要性、エネルギー安全保障の向上と国際協力の強化の必要性、アジアを主としたエネルギー地域協力の推進の実施、総合的なエネルギー国家戦略の推進といった提言をいただきました。
 また講義後は、家庭でのエネルギー消費の未来像、電力システム改革における国有民営の重要性といった活発な質疑が行われました。
 日本のエネルギー政策の在り方について関心が高まる中、専門家の鋭い考察に基づく講演は大変関心が高く、大変好評でありました。なお、今講座において聴講いただいた方へ十市氏の著書「シェール革命と日本のエネルギー(改訂版)」を献本いただきました。
会場風景講義風景